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プロジェクトをデザインする(PDI self-introduction)

yoshimi97
6 日前
読了時間: 9分

プロジェクトデザインという言葉や考え方は、以前から世の中に存在します。しかし、不確実性が高くなっている社会で、プロジェクトを成功させるためにその重要性と存在意義はより高まっているのではないでしょうか。「プロジェクトをデザインする」という活動について、現在の状況に合わせた解釈や再定義を行い、実践を重視した考え方と手法にまとめました。Project Design Idea合同会社(PDI)の紹介と併せて共感いただければ幸いです。


プロジェクトは不確実性との闘い

プロジェクトには「独自性」という性質があります。参考になる事例はあっても、全く同じものは存在しないため、その案件における正解は誰にも分かりません。つまり、プロジェクトは本質的に不確実だということです。

プロジェクトの不確実性は一定ではありません。スタート時が最大で、成果物が完成すれば0になります。何も決まっていない最初の状態から、判断・意思決定・制作を重ねて具体化していくことで、不確実性は徐々に下がっていくのです。

当たり前のようですが、この性質は実務では意外と見失われがちです。いくら知識を共有し、議論を重ね、ツールを考案し、緻密に管理しても、最終的に行き着くのは「進めること」と「決めること」。プロジェクトを推進するには、まずこのシンプルな原理原則を頭に入れておく必要があります。


プロジェクトは最初が勝負

進めたいのに進まない、何から手をつければいいか分からない、あれもこれも問題に見えてしまう——そんなプロジェクトスタート時の不快感。プロジェクト推進の経験がある方なら、この最初のもどかしさ、モヤモヤ感、不安感を一度は味わっているのではないでしょうか。

一方で、よく分からない状態のままプロジェクトを適切な方向に進めるには、考え、段取りし、議論し、目線を合わせる、といった多くのエネルギーが必要です。

プロジェクトの初期段階は、なかなか手を出しづらいのにも関わらず、実は不確実性との闘いにおいて最もエネルギーを割くべき重要なフェーズなのです。


初動をミスると炎上する、だから構想する

プロジェクトが苦しくなる原因を探ると、「初期段階に十分な検討や対応がされていなかったから」というケースは少なくありません。

スロースタートでプロジェクトを開始すると、アクションの優先順位を誤ったり、そのプロジェクトの重要なテーマを汲み取れなかったり、リソースの配分が中途半端になったりします。その結果、問題・課題・判断事項が積み上がり、手が回らなくなって炎上するのです。

やることが多く、先の見えない初期段階こそ、先を読んで重要なテーマを絞り込み、プロジェクトを前に進めるきっかけとなるアクションを取る必要があります。しかし、よほどの経験がない限り、直感だけで重要なテーマを見つけ、自信を持って行動することは難しいでしょう。

そこで、何らかの整理や確信を得るために行うのが、プロジェクトの構想=プロジェクトデザインです。


プロジェクトデザインとは

プロジェクトには必ず、開始時の条件があります。条件はプロジェクトを進めるための「ゲームのルール」のようなものなので、これを把握していないと、まず上手くいきません。

またプロジェクトにはリスクもあります。早期に把握できていれば、それに対するアクションの優先順位を設定できます。プロジェクトの成否を左右するようなリスクは、そのまま重要な推進テーマにもなるのです。

条件やリスクは、明確になっているものばかりではありません。まだ固まっていない、言語化されていない、共有されていない、というものも数多くあります。潜在的な条件やリスクは積極的に情報を取りに行き、それでも分からないものは仮に設定して、プロジェクトの全体像を思い描く。そうしなければ、初期の不確実性は下がりません。

初期の不確実性を下げ、前に進むきっかけをつくる——シンプルに言えば、これがプロジェクトデザインの意義です。


プロジェクトデザインはオフェンスとディフェンスのバランスが重要

何も決まっていない不安を構想によって解消しようとすると、できるだけ冒険を避け、安全なルートに乗せたくなるものです。

しかし一方で、何も決まっていないということは、それだけ可能性が大きく残されているということでもあります。プロジェクトに託された目的や目標をより大きく掲げ、高い価値を実現するというチャレンジは、初期の方針設定に大きく左右され、途中から変更するのはほとんどの場合困難です。

プロジェクトマネジメントの潮流は、確実に価値実現へと向かっています。そうした中では、より価値の高い成果にチャレンジすることがプロジェクト推進の評価にとって避けられず、自然と求められるようになっていくでしょう。

そのプロジェクトにおける成果の価値を定義し、ステークホルダーと共有したうえで、曖昧になりがちなビジョンと、それを実現するプロセスを明確にすること。これが、プロジェクトデザインのもうひとつの意義です。


プロジェクトデザインはサイエンスとアート

プロジェクトデザインは、プロジェクトマネジメントの一部です。プロジェクトマネジメントの知識はPMBOKガイドによって体系化されており、実務で検討すべきこと、管理すべきことについても、世の中には一定の共通認識があります。つまり、プロジェクトマネジメントの要素・知識・理論は、再現性のあるサイエンスだということです。

しかし、最新のPMBOKガイド(第8版)でもコンテキスト(その案件固有の条件や文脈)やテーラリング(案件に合わせてアレンジすること)が重視されているとおり、プロジェクト推進の実践は、そもそも再現性が高いものではありません。むしろ近年のプロジェクトは固有性・独自性が以前にも増して強まり、過去の類似案件を探すことすら難しくなっているのが実情です。

そうなると、プロジェクトデザインも誰がやっても同じ結果にはなりません。ある部分では、主観的に固有のコンテキストを捉えて問題設定を行い、そこで考えたことを表現し、伝え、共感を得るという、アート的な活動が必要になります。

不確実性の高いフェーズで行う活動であるプロジェクトデザインでは、客観的で説得力のあるロジックと、主観的で共感性の高いポリシーを両立させる必要があります。まさに、プロジェクトを対象としたデザイン活動と言えます。


なぜプロジェクトデザインが重要なのか

そもそもプロジェクトの成功は、初期のスタートダッシュにかなり影響を受けます。しかし、その考え方が世の中に浸透しているとは言い難いのが実情です。

これまでは、プロジェクトがうまくいかないことに苦痛を感じ、担当者が多大な苦労を重ねながらも、最終的にはマンパワーと緊急対応で何とかなってきました(そう言い切ってよいのか、疑問は残りますが……)。

しかし、労働人口が減少するという社会的状況の一方で、Web会議の普及や情報伝達スピードの高速化、専門特化・分業化が進み、プロジェクトに関与するステークホルダーの数は増え、意思決定は合議的になっています。その結果、対応すべきタスクの数や細かさは増え、「プロジェクトにかけられる工数は減る一方で、やることは増える」という状況になっているのです。

そうなると、人員や時間を投下するクラッシングや、専属での対応、スキルを持つ人材のヘルプにも限界があります。それができないということは、「何ともならない失敗プロジェクト」が増えることを意味します。

プロジェクトデザインは、いわばプロジェクト推進のシステムを組み立てる行為です。社会自体の不確実性が高まる中で、プロジェクトの不確実性を下げるプロセスをあらかじめ組み込んでおくこと。炎上どころか、どうにもならない失敗が現実味を帯びている今だからこそ、これは必須ではないかと考えています。


プロジェクトデザインという考え方を拡げたい

2026年7月にProject Design Idea合同会社を設立しました。プロジェクトマネジメントの中でも構想・立上げを専門領域とし、シナリオとしくみをつくることで、プロジェクト推進のシンプルな原理原則である「進めることと決めること」の効率と生産性を高めるパートナーとなることを目指しています。

私自身はこれまで、事業者側で建築事業のプロジェクト実行支援を行い、また個人事業では受注者側のプロジェクト業務の改善・実行支援を行ってきました。どちらも、現場に軸足を置いたスタイルです。同時に研修や人材育成支援にも携わってきたため、現場経験を言語化しつつも独りよがりにならないよう、PMBOKガイドのような知識体系や、世の中に普及しているビジネススキルと客観的に結びつけてきました。

これまでの実践経験と知識を、一定の再現性のある型として、「プロジェクトデザイン」というフォーマットに落とし込み、プロジェクトを成功させたいと考えるすべての方に提供したい。そう考えるならば、事業者・受注者といった立場や、プロジェクトの規模は関係ないと思っています。


PDIのプロジェクトデザイン

PDIのプロジェクトデザインは、そのプロジェクトの条件や状況を分析することからスタートします。最初に条件を整理するのは、建築設計やプロダクトデザインと同じです。分析では、そのプロジェクトのテーマとなる中核課題を探します。

次に戦略を立てます。戦略とは、中核課題を中心にどう進めるのがよいか、特に気を付けるべきことは何かを考えるプロセスですが、ここでは事業の目的、プロジェクトの目標、達成したいことといった、プロジェクトの価値に関することも併せて検討します。

分析・戦略は各要素ごとに行うため、最終的にはこれらをホリスティックなシステムとして統合する必要があります。統合したものがプロジェクトシナリオです。プロジェクトシナリオによって、プロジェクトの全体像と進め方の方針が見えてきます。

そして構想と推進をつなぐために、つまり実行可能な計画とするために、プロジェクトシナリオを、ロードマップ(プロジェクト全体の流れが分かるスケジュール形式の表)、メジャータスクリスト(プロジェクト全体の流れの中で行う検討・検証・作業・課題解決の一覧表)、フォーメーション(体系図、役割分担表、会議体構成図)として具体化します。


PDIがプロジェクトデザインで目指すもの

関係者が共感でき、躊躇なくプロジェクトを推進できる——そんな状態を目指すのが、PDIのプロジェクトデザインです。

そんなスッキリしたプロジェクトが増えれば、世の中のプロジェクトに対する認識も、「モヤモヤしながら大変な苦労をして、最後はパワープレーで何とかするもの」から、「ワクワクしながら効率的・生産性高く進め、着実にゴールして価値を実現するもの」へと変わっていくはずです。

その結果、「世の中に価値を生み出す良い仕事をするには、プロジェクトをデザインすることが必要だ」という、組織や業界を超えた認識が広がること。そして、「プロジェクトデザインを行う専門プレーヤー」という職種が一般的になること。これがPDIの目標です。

 
 
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